漢字はいつ、誰が作ったの?
名前に漢字はつきもの。雑学にしてみてください。漢字に興味を持ってもらえると嬉しいです♥

習う漢字は常用漢字だけ


     今学校で勉強している"常用漢字"1945字は昭和56年に内閣によって決められました。
     この"常用漢字"は、昭和21年11月以降に"当用漢字"として定められた1850字に見直しを
     加えられたもので、義務教育として勉強し、漢字の知識としての最低ラインを示して
     いると言えよう国の規格です。
     (でも常用漢字でない漢字も名前・地名などで沢山使われていたりします!さすが漢字!)

     沢山ある漢字の中でどうやって常用漢字を決めたかと言いますと、
     その前身である当用漢字の成り立ちを見る必要があります。

     当用漢字は、敗戦後まもない頃、日本を占領した連合軍が統治上の便宜をはかって
     ローマ字表記を求め、漢字の制限・廃止を日本に要求したので、当時の日本政府が
     「当座使わせてください」という意味で「当用」の漢字として定めたものでした。
     私なんかは「当然使用する漢字」と推測していたのですが、違いました(笑)

     漢字も時代の流れでどんどん使用範囲や字数が減ってきており、国語力の低下を
     嘆く時代に突入したと言えると思うのですが、漢字がいくら減っても部首が減った
     と聞いたことはありません。
     この「部首」というのはいつ出来たのかを見ていきたいと思います^^


部首はいつできたのか?

 
     文字列として表記された漢字の起源は3,300年ほど前の殷王朝時代に遡るのですが、
     漢字の部首はその時点ですでに出来ていたものではありません。

     じゃ、いつ部首というカテゴリーで整理されたか?
     中国の後漢の時代、今から約1900年前の西暦100年に許慎という人が、当時見ることが
     できる古い資料を研究して字形を説明した、世界最初の漢和辞典『説文解字』という
     研究書に、部首という概念で初めて漢字が整理されました。
     この後漢の時代になると秦の時代から散逸していた古い文献の蒐集・整理が行われ
     るにつれて、誰でもが理解できる識字の基準が必要になったからです。

     この許慎が文字とした字数9,353字、部首数540部。
     使用する漢字数は常用漢字の約5倍・・・・

     540もの部首を「一」から始め、十二支の最後である「亥」の部で終わるという
     文字による宇宙の森羅万象の構築をを意図した許慎哲学入り部首法を用いました。

     後漢の時代、神聖な漢字の意味を理解して、より神と繋がろうとした当時の人々の
    熱情によって漢字を扱う役職が生まれ、漢字がより人為的に頒布される原点になった
    と考えていいと思います。

     その反面、私は漢字をこの誰にでも「目で見て理屈で解釈する」という視点が強まる
     とともに、漢字のスピリチュアル性が置き忘れられていくという漢字本来の"力"が
     顧みられなくなる起点を作ったのではないか?と感じます。


漢字の6つの構成法

  

   許慎が作った『説文解字』は、540の部首分けを主として作られたのではなく、
   文字の成り立ちを説明し、その字の意味を附すという、今私たちが使って
   いるような漢字の用例辞典的な辞書でなく、"1字の漢字"に焦点を当てた
   一つ一つの漢字に当時の世俗の思想や伝えられてきた思想を混ぜて解釈を施しました。

   そこで許慎は構成法により漢字を6つのグループに分けました。
   ●象形:ものの形をそのまま象ったもの
          【月】満ち欠けする月の三日月の形から出来た漢字
          【大】手足を広げて立つ人を正面から見た形の漢字
   ●指事:見てすぐに理解されるように、事物の関係を示したもの
          【上】手のひらの上に点をつけて"上"を示した
          【下】手のひらを伏せて、その下に点をつけて"下"を示した
   ●会意:二つ以上の字の要素、象形・指事文字を組み合わせたもの
          【武】戈<武器の形>+止<進むを表す足跡の形>=勇ましい
          【信】人+言<神への誓いの言葉>=神に誓いを立てた"まこと"の約束
   ●形声:音符によってその字の音を表すもの
          【河】サンズイ偏+音符の"可"を合わせたもの(黄河の意味で使われていた)
          【江】サンズイ偏+音符の"工"を合わせたもの(長江の意味で使われていた)
   ■転注:一定の解釈がまだなく、同じ音符をもつ多くの字が、その音符のもつ意味と音を共有する関係
          【偪・副・幅】右部には共通して"ふくらんだもの"の意味が与えられている
          【倫・輪・綸・淪】右部には共通して"ひとつながり"の意味が与えられている
   ■仮借:代名詞や方位の名のように、はじめから字形として表わすことができないものを同じ音の字を借りて表すこと
          【西】鳥の巣の形。鳥の巣の音とニシの音が同じだった。
          【東】上下をくくった橐(ふくろ)の形。この橐の音とヒガシが同じだった。


           本当は甲骨文字と金文の文字を交えて説明をすると、図形的によく理解ができるのですが、
                  それはいつかの機会にしておこうと思います。                              



長くなってしまいましたが、1900年以上も前に作られた漢字の法則について
いまだわれわれがそのまま受け継いで使用していることも不思議の一つだと思います。

お手元の漢和辞典を一度引いてみてください^^
漢字の用例解説の前に、漢字の読み方と漢字の説明が出てきます。
ここに、この6つ構成法の内のどれかが書かれていますから♪

漢字って面白いな~と少しでも思ってもらえたら嬉しいです❤


あなたのお名前の漢字、字源を見るとスピリチュアル性を持った名前だとわかります。
(お名前の字源、知りたいなと思われたら先着50名様に、こっそりお伝えします♪)




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